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土地所有名義トラブルが社会問題に

    地縁団体の土地所有名義トラブルが社会問題になっています。

 

 

 

相続時のトラブル

 

名目上の所有者として名義人になっていた方がお亡くなりになった際、その事実を知らない相続人が実状は自治会所有である不動産の権利を主張するというトラブルが発生。

 

 

抵当権設定トラブル

 

本来は自治会のものである不動産を自分の名義であることを利用して借入の担保に供するトラブルが発生。

 

 

これらの問題を解消するため自治会の法人化が認められ法人として自治会名義で不動産の登記ができるようになりました。

 

 

 

*町内会や自治会などその土地に暮らす方々の結びつきによって形成されている団体を地縁団体と呼びます。

 

 

自治会法人化の疑問に答えます。

自治会法人化、認可地縁団体、自治会規約、共有名義



















何のために法人格が必要?

地縁団体には法人格がないため、不動産の名義人になることができませんでした。その為自治会や町内会が、集会所などの建物や土地を持つ場合はその会のメンバーの名前を使って(主に代表者を含む数名の共同名義)所有するという形をとっていました。

地元の人々の結びつきが強く、お互いの家族や生活を知っていた時代は良かったのですが、最近ではすぐ隣の住人すらわからない事も珍しくなくなってきました。そんな中で、たまたま町内会の土地の名義人になっていた方が亡くなったとき、離れて暮らしていた相続権を持つお子さんにとって、その土地が本当は町内会の物であることは知り得ずに自分が相続するものだと思ってしまうケースのトラブルが発生するようになってきました。ご近所のみならず、家族同士の距離も遠くなっている事も原因の一部です。

そのため、最初から不動産を町内会の名前で所有することができるように地方自治法が改正されたのです。

市町村に申請して「認可地縁団体」となることで、法人として扱われるようになり、特例としてその団体名での不動産の登記が可能になります。


◎認可地縁団体が所有する不動産に係る登記の特例

 地方自治法の改正(平成27年4月1日施行)により「認可地縁団体が所有する不動産に係る登記の特例」が創設され、認可地縁団体が所有する不動産のうち一定の要件を満たすものについて、市町村長が公告手続を経て証明書を発行することにより、認可地縁団体が単独で当該認可地縁団体を登記名義人とする当該不動産の所有権の保存または移転の登記の申請をすることを可能とする特例を設けるものとされました(地方自治法第260条の38および第260条の39関係)。



認可地縁団体になる要件は?

認可地縁団体になるためには以下の要件が必要です。


次の4つの要件(法第260条の2第2項)をすべて満たしている自治会・町内会が認可の対象となります。

1.その区域の住民相互の連絡、環境の整備、集会施設の維持管理等良好な地域社会の維持及び形成に資する地域的な共同活動を行うことを目的とし、現にその活動を行っていると認められること。

 → 地域的な共同活動とは、集会施設の維持管理、清掃等の環境整備活動、高齢者施設等への慰問等の社会福祉活動、スポーツ大会、レクリエーション活動など、一般的な自治会活動のことです。また、現にその活動を行っていると認めるには、少なくとも前年度において活動実績があることが必要です。


2. その区域が、住民にとって客観的に明らかなものとして定められていること。

 → 客観的に明らかとは、町又は字及び地番又は住居表示による区域のほか、河川、道路等で区域が画されているなど、容易に区域・範囲が分かる状態にあるという意味です。


3.その区域に住所を有するすべての個人は、構成員となることができるものとし、その相当数の者が現に構成員となっていること。

 → 構成員になることができる資格は、年齢・性別・国籍等に関係なく、その区域に住所を有するすべての個人ということになります。また、入会の申し込みがあった場合、正
当な理由なくこれを拒んではいけません。構成員の加入資格等を規約に定めることもできません。また、相当数の判断は、一般的にその区域の住民の過半数を判断基準としています。


4.規約を定めていること。

 → 規約には(ア)目的、(イ)名称、(ウ)区域、(エ)主たる事務所の所在地、(オ)構成員の資格に関する事項、(カ)代表者に関する事項、(キ)会議に関する事項、(ク)資
産に関する事項が定められていることが必要です(法第260条の2第3項)




地縁団体として不動産を登記する要件は?

認可地縁団体が不動産を登記するために以下の要件が必要です。

申請要件(地方自治法第260条の38第1項各号)

1.当該認可地縁団体が当該不動産を所有していること。

2.当該不動産を10年以上所有の意思をもって平穏かつ公然と占有していること。

3.当該認可地縁団体の構成員又はかつて当該認可地縁団体の構成員であった者が当該不動産の表題部所有者又は所有権の登記名簿人となっていること。

4.当該不動産の表題部所有者又は所有権の登記名簿人の全部または一部の所在が知れないこと。




登記手続きの流れは?

認可地縁団体が所有する不動産に係る登記の特例手続きについて

1.申請書の提出
 所有不動産の登記移転等に係る公告申請書に、次の書類を添えて市長に提出してください。

(1)所有権の保存又は移転の登記をしようとする不動産の登記事項証明書
(2)保有資産目録又は保有予定資産目録等
(3)申請者が代表者であることを証する書類
(4)地方自治法第260条の38第1項各号に掲げる事項を疎明するに足りる資料

        ↓

2.公告
 申請内容について、市が相当と認めるときは3ヶ月間公告します。

        ↓
3.異議申出書の提出
 公告に基づき、申請不動産の表題部所有者若しくは所有権の登記名義人若しくはこれらの相続人又は申請不動産の所有権を有することを疎明する者が、申請不動産の所有権の保存又は移転の登記をすることについて、異議を述べる場合は、申請不動産の登記移転等に係る異議申出書に、次の書類を添えて市長に提出してください。

(1)申請不動産の登記事項証明書
(2)住民票の写し
(3)その他の市長が必要と認める書類

        ↓

4の1.異議の申出があった場合
 公告をした結果、異議の申出があった場合は、公告結果(異議申出あり)通知書を申請団体へ交付します。これにより、特例手続は中止されます。

        ↓

4の2.異議の申出がなかった場合
 公告をした結果、異議の申出がなかった場合は、異議がなかった旨を証する書類を申請団体へ交付します。

        ↓

5.登記手続き
 異議がなかった旨を証する書類の交付を受け、法務局にて申請不動産の所有権の保存又は移転の登記手続きを行います。


なかなかの長丁場で手続・必要書類集めが大変ですね。





法人化したら税金がかかるのでは?

法人化前と後の税制上の扱いはほぼ同じです。


 ・国税 法人税は所有不動産収入その他収益などがあれば課税対象。登記時の登録免許税も同率(1000分の20)。

 ・県税 法人県民税(収益があれば課税対象で申告が必要)、法人事業税(収益があれば課税対象で申告が必要)、不動産取得税(申請に基づき減免対象) いずれも同じ扱い。

 ・市税 固定資産税(収益物件のみ課税)、法人住民税(収益が無ければ非課税。収益がある場合に均等割分について課税対象となる。*ただしこれも減免有


  法人化前と後の唯一の違いはアンダーライン部分です。
  (*変更がある場合があります。詳細については所轄の機関にお問い合わせください。




法人化のおおまかなメリットデメリット

メリット

 ・代表者等の仮の名義人ではなく自治会自体の名義で不動産を所有できる。
 ・上記により仮の名義人の相続にかかったり、差し押さえられたりしない事。
 ・代表者の変更等による名義人の変更登記が不要になる。(初回のみ)


デメリット

 ・法人として認可してもらう為の認可基準を満たさなければならない事。
 ・自治会規則も認可基準を満たした厳格なものが必要になる。
 ・会計役員に一定レベルの会計スキルが必要。


必要な義務はほとんど変わらないのですが、法人化されていない時は適当に済ませられていた事も法人化により正しく対応する必要が生じます。



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